卓矢理論 v6: 実演マジックにおける支点・逃げ道管理・原因帰属の認知モデル / Takaya Theory v6: A Cognitive Model of Support Points, Explanatory-Route Management, and Causal Attribution in Performance Magic
卓矢理論V6は、観客が実演マジックをどのように理解し、不思議として受容するのかを、演技設計と観客認知の対応から記述する探索的な認知モデルである。 本稿では、観客が演技中に形成する「局所状況モデル」を基盤として、説明候補の形成、逃げ道の管理、支点形成、予測・原因帰属、観測、不整合、受容、そして終演後の再構成までを一連の過程として整理する。 特にV6では、従来「可能性の圧縮」や「逃げ道の消去」として扱っていた過程を、「逃げ道の管理」という上位概念へ再整理した。逃げ道の管理には、説明候補を生成されにくくする「生成抑制型」、既存の候補を証拠によって否定する「消去型」、特定の誤った説明候補へ積極的に導く「誘導型」を区別する。また、後続の解釈・同一性判断・原因帰属の基準として機能する「支点」を中心概念の一つとして位置づける。 さらに、観客が現象の原因をどこに帰属するかを、演者・道具・観客・構造/運命・原因宙吊りという5つの類型から分析するほか、マジカルアトモスフィアを、出来事を「不思議」として受け取りやすくする演出的・文脈的条件として扱う。観客参加についても、単純な効果増幅要因とはみなさず、支点形成、原因帰属、agency、社会的意味との関係から検討する。 V6では、従来重視していた「確信の崩壊」をマジック体験の普遍的な必要条件とはみなさない。予測違反、説明困難、表象間の不整合、説明探索などから、驚き、不思議、好奇心、困惑など複数の受容経路が成立しうると考える。 本モデルは、新たな一般的認知メカニズムを提唱するものではない。認知科学およびscience of magicで研究されてきた知覚、注意、予測、問題解決、記憶、agencyなどの知見と、マジック実践における確認、False Solution、direction、観客参加などの設計原理を接続し、実演マジックを分析・設計するためのperformance-level frameworkとして整理することを目的とする。 現時点では探索的仮説モデルであり、支点、逃げ道の管理、原因帰属5類型などの概念と、それらの関係については、今後さらに既存理論との比較および実証的検証が必要である。
Authors
- Takuya Yamamoto
Publication Details
- Journal
- Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
- Published
- 2026-09-19
- DOI
- https://doi.org/10.5281/zenodo.19413724
- Primary Topic
- Paranormal Experiences and Beliefs
- Type
- preprint