「子ども睡眠健診」の実現に向けて
成長期の子どもの睡眠は, 心身の健やかな発育発達に重要な役割を果たす. 一方で,社会機能の24時間化, 共働き世帯の増加等の社会構造の変化, またデジタル機器の普及に伴い, 子どもの睡眠を取り巻く環境は大きく変化し, 発育発達への悪影響が懸念されている. 私たち東京大学のグループでは, 2022年9月より, 子どもの健やかな睡眠状態を知り・育み・護ることを目的とした「子ども睡眠健診」プロジェクトを推進している. このプロジェクトでは, 腕時計型のウェアラブルデバイスを用いて日本の子ども (小中高生) の睡眠の量・質・リズムを簡便かつ定量的に測定し, 現代の子どもの睡眠の実態把握を進めると同時に, 学校現場への技術的・教育的支援の提供と, 子どもと保護者の睡眠リテラシーの向上を通じて, 睡眠状況の改善や健やかな発育発達につなげることを目指している. プロジェクト開始以来, 日本全国の延べ120校以上の学校から約12, 000名の児童・生徒が睡眠測定に参加している. 独自に開発した簡便かつ正確な睡眠測定技術である ACCEL 法を活用することにより, 現代の日本の子どもたちの睡眠実態が徐々に明らかになりつつある. 本稿では,「子ども睡眠健診」プロジェクトの全体像を紹介するとともに, これまでに取得・分析してきた児童・生徒の睡眠に関する最新のデータを紹介し, 現代を生きる子どもの睡眠の実態について見えてきた現状について報告する. さらに, 国際的に睡眠負債大国として知られている日本において「睡眠健診」を実現する意義と道筋, また今後の展望について議論する.
Authors
- 哲史 岸
Publication Details
- Journal
- Nippon Jibiinkoka Tokeibugeka Gakkai Kaiho(Tokyo)
- Published
- 2025-12-20
- DOI
- https://doi.org/10.3950/jibiinkotokeibu.128.12_1311
- Primary Topic
- Military Technology and Strategies
- Type
- article
- Field-Weighted Citation Impact
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