全エクソーム解析による未診断の症候群性難聴の原因と新規難聴原因遺伝子の同定
先天性難聴は500~1, 000人に一人発症し, その60~70%は遺伝子に原因があるとされる. 原因遺伝子の同定は病態の理解促進, 予後予測, 次子の発症確率の推定, 適切な療育法の選択に重要である. 現行の保険収載されている遺伝学的検査 (遺伝子パネル検査) 対象に含まれていない難聴遺伝子の遺伝学的解析や新規難聴原因遺伝子の探索には, 全エクソームシーケンス (WES) 解析が有効と考えられる. 一方で, 多数検出される遺伝子変異 (バリアント) の中から, 原因を効率的に同定するための工夫が必要となる. 本研究ではこの課題に対し, 未診断の症候群性難聴患者を対象に, 既知の難聴遺伝子解析と AI による表現型類似性検索を組み合わせた2段階の WES 解析法を適用した. その結果, 55家系中22家系で原因を同定し, 症候群性難聴の原因遺伝子の多様性を明らかにした. また, 私たちは WES 解析を用いて新規の非症候群性難聴原因遺伝子 SLC12A2 の同定に成功している (DFNA78). 患者と等価な Slc12a2 バリアントを導入したマウスを作製したところ, 同マウスは難聴を呈し, 蝸牛外側壁血管条の萎縮が観察された. これらの成果は, AI も活用した WES 解析が難聴患者に対する遺伝学的解析を深化させ, 稀少疾患の原因同定や新規遺伝子の同定を可能にすることを示すものである.
Authors
- 達雄 松永
- 英樹 務台
Publication Details
- Journal
- Nippon Jibiinkoka Tokeibugeka Gakkai Kaiho(Tokyo)
- Published
- 2025-11-20
- DOI
- https://doi.org/10.3950/jibiinkotokeibu.128.11_1239
- Primary Topic
- Genomics and Rare Diseases
- Type
- article
- Field-Weighted Citation Impact
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