舌痛症・口腔乾燥症に対する漢方療法―定石と次の一手―
舌痛症・口腔乾燥症は治療に難渋する場合が多く, 多面的なアプローチを有する漢方治療の効果に期待が寄せられている. 舌痛症の漢方医学的病態としては, 潤い不足を示す「陰虚」と生命活動を営む根源的エネルギーの停滞を示す「気鬱」, 中でも感情の調節を司るとされる肝の気の停滞である「肝気鬱結」が重要であることから, 定石の処方にはこれらの病態に対応可能な滋陰至宝湯を提案する. また次の一手としては鎮痛作用を有する生薬を豊富に含む立効散を勧めたい. そして, 口腔乾燥症の定石の処方には人参養栄湯を提案する. 漢方医学の主要な学会である日本東洋医学会は, エビデンス確立のために「漢方治療エビデンスレポート (Evidence Reports of Kampo Treatment: EKAT)」を公開し, この EKAT に薬物性口腔乾燥症に有効な漢方方剤として人参養栄湯の報告を掲載している. 人参養栄湯は口腔機能低下を有する高齢者の口腔粘膜湿潤度を改善し, また出典である『三因極一病証方論』における効能の記載には「治咽乾唇燥 (咽頭や口唇の乾燥を治療する)」とあり, 口腔乾燥症に有効な方剤といえる. また次の一手としては, 口腔に関与する脾 (消化器系) と肺 (呼吸器系) の病態に対応する滋陰剤 (潤す漢方方剤) である滋陰至宝湯・麦門冬湯が有用である. 中でも麦門冬湯はシェーグレン症候群の唾液分泌低下に有効とされる.
Authors
- 明子 白井
- 智一 吉崎
Publication Details
- Journal
- Nippon Jibiinkoka Tokeibugeka Gakkai Kaiho(Tokyo)
- Published
- 2025-11-20
- DOI
- https://doi.org/10.3950/jibiinkotokeibu.128.11_1232
- Primary Topic
- Traditional Chinese Medicine Studies
- Type
- article
- Field-Weighted Citation Impact
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