COVID-19 後の嗅覚・味覚障害~漢方治療の定石と次の一手~
COVID-19 後の嗅覚・味覚障害は多くが早期に回復する一方で,遷延し悩む患者も一定数存在する. 嗅覚障害は, 嗅粘膜に限局した炎症であれば比較的早期に改善するが, 嗅神経細胞まで障害が及ぶと遷延しやすいとされる. 漢方治療の第一選択は, 嗅覚障害診療ガイドラインに収載されている当帰芍薬散であり, これは嗅神経の機能維持および再生に関与する神経成長因子 (NGF) を増加させる. 一方, 当帰芍薬散で改善しない例では, 遷延した神経炎症が要因の一つと考えられ, 神経炎症を鎮静する効果がある香蘇散を試してみることを提案する. 味覚障害においては, 持続する慢性炎症やストレス, および消化吸収能に対する配慮が重要であり, 漢方治療の第一選択は柴胡剤である. 柴胡剤は抗炎症作用, 抗ストレス作用を持つ「柴胡」を含有した漢方の総称であり, 消化吸収能にも配慮したものが多く, ストレスで乱れた胃腸もケアしてくれる. 柴胡剤で効果が乏しい場合は, 海馬の神経炎症や食事の楽しみの喪失などに起因する抑うつ状態が進行し, 心因性味覚障害に移行している可能性がある. このような例では, 香蘇散による海馬の神経炎症抑制と抑うつ状態の改善により, 症状が改善することがある.
Authors
- 一浩 平澤
- 清彰 塚原
Publication Details
- Journal
- Nippon Jibiinkoka Tokeibugeka Gakkai Kaiho(Tokyo)
- Published
- 2025-09-20
- DOI
- https://doi.org/10.3950/jibiinkotokeibu.128.9_1090
- Primary Topic
- Military Technology and Strategies
- Type
- article
- Field-Weighted Citation Impact
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