Korean's War Memories Depicted by Park Soo-nam
本稿は、日本の戦争責任問題に穿鑿してきた在日朝鮮人の映画監督・朴壽南の ドキュメンタリー映画4本(「もうひとつのヒロシマ―アリランのうた」(1986)、「アリランの うたーオキナワからの証言」(1991)、「ぬちがふぅ(命課報)―玉砕場からの証言」 (2012)、「沈黙―立ち上がる慰安婦」(2017))に用いられている独特な映像表現を分 析したものである。これまで、かつての植民地朝鮮と在日朝鮮人にまつわる問題を 描く日本のドキュメンタリーを対象とする研究が少なからず行われてきた。しかしその 多くは、時代や社会状況と共に移り変わる表象を考察したり、製作主体による表象の 違いと観客の受容様相を比較している。また、在日朝鮮人の映画研究においてもエ スニック・マイノリティーとしての「在日朝鮮人像」の考察が中心となっており、映画の テーマに対する作り手の思考と美学などが反映されている映像表現の分析は十分 に行われていない。従って、本稿では朴壽南のドキュメンタリー映画4本に用いられ ている映像表現に注目し、どのような表現を工夫し朝鮮人たちの戦争の記憶を映し 出しているのかを考察した。その結果、証言に対する歴史的根拠、そして歴史の裏 側を考えさせるファウンド・フッテージの活用をはじめ、目のエクストリームクローズ アップによる被害者の痛みの描出、カメラ構図の使い分けによる没入の誘導、そして ナレーションやインタビュアー、ボイスオーバーといった言語的表現による作り手の 介入を通して、朝鮮人たちの戦争の記憶を記録・伝達していることを明らかにした。こ のような作業を通して、朴壽南の作品に対する解釈の可能性を広げるとともに、今後 の在日朝鮮人の映画研究にもう一つの方向性を提示することを試みた。
Authors
- Dongho PARK
Publication Details
- Journal
- Journal of Japanology
- Published
- 2024-12-31
- DOI
- https://doi.org/10.21442/djs.2024.64.08
- Primary Topic
- Asian Culture and Media Studies
- Type
- article
- Field-Weighted Citation Impact
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